JA静岡厚生連。保健・医療・福祉の事業を通じ地域の暮らしに根ざした病院として社会の構築に寄与する。

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JA静岡厚生連 機関誌「すてっぷ」特集記事です。 2020.12 NO.517
相談機関を上手に利用しよう



リハビリテーション中伊豆温泉病院

医療福祉科 科長代理

土屋 暁子

はじめに
 
  困ったときは誰に相談しますか?家族、親戚、友達、近所の人、職場の人、自分で何とかする等、人によってさまざまだと思います。生活の中での困りごとについて、専門的な知識が必要だと感じたらどうしますか?経験者に聞く、本で調べる、ネットで調べる方も多いでしょうか。そもそも困っているけれど何が問題なのかこんがらがっている、自分の場合はどうしたら良いのか分からないという時は相談窓口をぜひ利用してみてください。

上手な相談の方法

1)事前準備をしておこう
 相談機関を利用する際には、事前に電話連絡をいれ、担当者がいる時間や予約が必要か、必要な持ち物が何かを確認してから出かけることをお勧めします。可能であれば自分は何に困っているのか、どんな生活をしたいと感じているのかメモしておくと、相談場面で慌てずにすみます。ただし、事前準備が面倒だから相談しないというのが一番避けたいことです。

2)相談に題名をつけよう
 特に電話相談の際は自分の相談に題名をつけておくとよいと思います。担当者につながるまでに同じ話を何度もした経験はありませんか。例えば、市役所の総合案内に電話がつながった際には、大見出し「障害者福祉について」相談したいと伝え、障害福祉課につながったら小見出し「身体障害者手帳の手続きについて」知りたいと伝え、担当者につながったら具体的な内容を相談するとスムーズです。

3)相談の経過を伝えよう
 一か所だけでなく、他の機関でも相談した場合は、そのことを率直に伝えた方が良いと思います。相談機関同士が連絡を取り合って、困りごとをより複合的に理解してもらえるからです。場合によっては制度間の狭間が浮き彫りになることもあります。

4)分からないことは分からないと伝えよう
 誰しも、困っている混乱した状況の中で説明を受け、分からないことがあるのが当然です。私も含め毎日使っている言葉は誰もが理解していると思ってしまいます。分からないよとお知らせください。忘れないように資料をもらいたい、もう一度別の人と一緒に相談に来たい等の希望があればぜひお伝えください。

5)次の相談につなげよう
 相談したら、日付と相談機関・担当者の名前を控えておきましょう。再度確認をする際や、次回の相談に備えておきましょう。また、社会保障や福祉制度の内容は時期や地域によって異なる場合もあります。災害時や現在のコロナ禍等の際は、サービス内容や手続き方法が変わることが多いので、特に注意が必要です。

6)理由を一緒に考えよう
 残念ながら、相談をしたらすべての困りごとが解決するわけではありません。制度はあってもマンパワー不足で実際は利用が難しい、まだ対応する制度はないが患者会では要望をあげている、本人は困っていなくて制度利用の希望がない等理由もさまざまです。困りごとの内容を解きほぐし、解決できない場合はその理由や状況も一緒に整理してみましょう。



病院での相談窓口

 病院には医師をはじめとした専門職がたくさんいます。体調がおかしいと感じて受診し医師へ相談する、療養生活について身近な看護師に相談するという経験は誰しもがあるでしょう。他にも薬、食事・飲み込み、体の動き、生活動作、自宅の環境整備、介護のコツ等様々な内容に関して、多職種が協力し合って相談に応えています。



 医療ソーシャルワーカーは経済的・社会的・心理的な問題の解決に向け、一緒に考え支援します。例えば、医療費が心配、障害が残る状況で退院後どのように生活したら良いのか分からない、自宅での療養生活が難しいと思うので他の方法を検討したい等、様々な相談に応えます。社会福祉資源等を利用しながら関係機関との調整を行います。
 合わせて静岡県厚生連では各病院や施設に「よろず相談窓口」を設置しています。保健・医療・福祉に関する相談や苦情に対応する窓口として、看護師や医療ソーシャルワーカーが配置されています。意見箱や電話・対面にて、相談・苦情・意見をいただいています。少しでも皆さんが安心して療養できるよう目指していますので、ご利用下さい。 




さまざまな相談窓口
1)相談窓口は場面によって異なります
 相談窓口を上手に利用するためには、相談窓口の得意分野を知っておくとよいでしょう。一口に相談窓口と言っても多様です。高齢者・障害者・こども家庭・就労・所得保障・医療等、年代や目的に応じて相談機関が変わります。配置されている相談員も、自分の所では分からない事は、どの機関に聞けばよいのか誰なら分かりそうか把握し、連携を取りながら地域のネットワークの中で解決をめざします。また、一人の人・一つの家庭でいくつかの困りごとがある場合も、連携をはかって対応します。縦割りの弊害をなくし「まるごと」相談を受けられるよう、行政の中にワンストップの総合相談窓口を設けている所も徐々に増えて来ています。もちろん、お近くの慣れた相談窓口でまずは相談し、適切な窓口につないでもらうというのも一つの方法です。

2)各分野の相談窓口を知ろう
 ①高齢者分野
 リハビリテーション中伊豆温泉病院の医療ソーシャルワーカーが一番連絡を取ることが多いのが高齢者分野の相談窓口です。地域包括支援センターは地域ごと設置されており、保健師(看護師)・主任ケアマネジャー・社会福祉士の3職種が配置されています。地域に密着した情報を持ち高齢者の総合相談に対応します。自分の地域の地域包括支援センターがどこにあるのかわからない場合は、市町村に確認をしてみて下さい。担当の居宅介護支援事業所の介護支援専門員(ケアマネジャー)
が決まると、一人一人の身体生活状況や希望を把握した上で具体的なサービス調整を行います。市町村では介護保険をはじめとした申請手続き等の支援も行います。
 ②障害者分野
 総合的な相談は、市町村の障害福祉担当課はもちろんですが、基幹相談支援センターで情報提供や各種相談などを行います。相談支援事業所では、どのような生活をしていきたいかサービス利用の計画を立て調整を行います。相談窓口がどこにあるかわからない場合は、市町村に確認しましょう。
 また、障害の種類によって専門的な相談窓口もあります。精神保健福祉センターには保健師や精神保健福祉士が配置され、精神障害者への総合的相談窓口が置かれています。交通事故後や脳血管疾患後等に起こる高次脳機能障害に関しては、社会福祉士等が配置された高次脳機能障害支援センターがあります。
 ③子ども・家庭分野
 市町村の子ども担当課では身近な相談窓口となっています。児童相談所では、児童福祉司や児童心理司が配置され、子どもに関する総合相談、児童施設入所に関する判定等が行われています。子育て世代包括支援センターでは、妊娠から子育て期の様々な疑問に答え、関係機関との調整等も対応しています。
 ④就労分野
 就労に関してはハローワークが職業相談や雇用保険利用の窓口となります。労働基準監督署では労働条件や労災保険の利用について相談が可能です。
 ⑤所得保障分野
 年金受給に関する手続きは年金事務所が対応します。経済的不安や生活保護申請に関しては市町村が窓口となります。生活保護利用の前段階での自立支援に関する相談窓口として、生活困窮者自立相談支援機関が置かれています。社会福祉協議会等が窓口になっている場合が多いですが、地域によって異なります。
 ⑥医療分野
 医療に関してはどの制度を利用していくかによって窓口が異なります。まずは受診している病院の相談室や連携室に配置されている医療ソーシャルワーカーに相談してみて下さい。利用している医療保険の保険者(国保であれば市町村、健康保険協会や健康保険組合等)が医療保険の利用手続きの窓口となります。難病に該当する疾患の場合は保健所が相談・手続きの窓口となります。

終わりに
 福祉制度やサービス利用は、本人や家族が申請を上げ、契約を結ぶ形となっています。自分が声を出さなければ、解決の糸口はつかめません。まずは相談窓口を知り、相談するところから始めていきましょう。



参考文献
 NPO法人日本医療ソーシャルワーク研究会編
『医療福祉総合ガイドブック』、医学書院、2020年



JA-shizuokakouseiren.