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JA静岡厚生連 機関誌「すてっぷ」特集記事です。 2020.5 NO.510
新型コロナウイルス流行に伴う
感染予防対策の基本
清水厚生病院
看護師
市川 恵美子

はじめに
 昨年(2019年) 12 月、中華人民共和国湖北省武漢市において、原因となる病原体が特定されていない肺炎の発生が複数報告されました。現在、新型コロナウイルス感染症として世界各国で調査、対応がすすめられています。
 新型コロナウイルス感染予防対策について連日ニュースや新聞で取り上げられている中で、今一度ご紹介させていただき、感染症予防について正しく理解した上で安心して生活できるよう、ご家庭での新型コロナウイルス感染症を含む感染症予防を身に付けていただければと思います。

新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)とは?

 コロナウイルスは、コウモリ、ラクダなど、主に動物に感染するウイルスですが、時に人にも感染することがあります。新型コロナウイルスの具体的な感染源は、まだわかっていません。現在、新型コロナウイルスに対するワクチンや特別な治療薬はなく、症状に合わせた対症療法がおこなわれています。

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が発生している国や地域は?

 2020年4月2日時点での世界の感染状況です。全世界感染者数857,641人、
死者42,006人です。(図1) (引用:世界保健機関HP)

(図1)


新型コロナウイルスの症状は?
発熱(37・5℃以上)、喉の痛み、咳、痰などの風邪のような症状で終わる場合が多いとされていますが、なかには4日以上経過後に高熱、胸部不快感、呼吸困難などが出現し、肺炎へ進展する事例もあります。潜伏期間はおおよそ2日から、長ければ2週間弱程と言われております。これらの重症化は高齢者や基礎疾患を有する方で多く見られる一方、小児や若年層のなかには、感染してもほとんど症状を呈さない無症状病原体保有者が存在することも判明しております。

新型コロナウイルスの感染経路

 主な感染経路は飛沫感染(咳やくしゃみに含まれるウイルスを吸入)と接触感染(感染者の飛散した唾液や痰などにより汚染された環境に触ることで感染)です。また感染してから症状が現れるまでの期間は2~5日(最大14日)とされており、それまでの間でも感染を広げる可能性も示唆されています。

新型コロナウイルスの一般的な感染予防対策
(1)発熱・咳などの症状がある場合、できる限り外出は控え、外出する時はマスクを着用し、人の多   いところは避けてください。
(2)毎日2回(朝、夕)体温を測ってください。
(3)症状がある家族とは、できる限り部屋を分けましょう。症状がある家族の部屋は、窓のある換気が   できる部屋にします。

 基本的な感染経路は飛沫感染もしくは接触感染であると申し上げましたが、飛沫感染では感染者のくしゃみや咳、唾などと一緒に放出されたウイルスを口や鼻から吸い込むことで感染します。一方の接触感染は、たとえば感染者がくしゃみや咳を手でおさえた後、その手で物に触れてウイルスが付着し、他者がその物に触った手で口や鼻、目を触ることで感染が広がります。
 したがって、感染や感染の拡大を防ぐためには、飛沫・接触感染の両方に対する対策を行う必要があります。また、健康管理や室内環境の改善も重要です。

【感染を予防するための対策】
・手洗い、うがい
 電車やバスのつり革、ドアノブなどさまざまなものに触れることによって、自分の手にウイルスが付着している可能性があります。そのため、帰宅時や調理・食事前などに石鹸を付けて手洗いを行うようにしましょう。アルコールを含んだ消毒液で手を消毒するのも効果的です。また、手洗い・アルコール消毒に加えて、うがいもしておきましょう。

【家庭での手洗いのタイミング】
・外出から戻った後
・多くの人が触れたと思われる場所を触った時
・咳・くしゃみ、鼻をかんだ後
・症状のある人の看病、お世話をした後
・料理を作る前
・食事の前
・家族や動物の排泄物を取り扱った後
・自分がトイレを利用した後

普段の健康管理
 新型コロナウイルスに限らず、あらゆる感染症は免疫力が低下しているときにかかりやすくなります。しかし、過度な免疫力の向上にチャレンジする必要はありません。普段からバランスのよい食事と十分な睡眠を心がけることが重要です。持病がある人などは公共交通機関や人混みの多い場所を避けるなど、より一層の注意が必要です。

適度な湿度を保つ
 1年の中で特に冬は空気が乾燥しています。空気が乾燥すると喉粘膜の防衛機能が低下してウイルスが侵入しやすくなるので、室内では加湿器などを使用して適切な湿度(40%以上)に保つことが大切です。
・部屋の換気
 換気をしていない密室はウイルスがこもりがちです。定期的に部屋の換気をするのも効果的とされて います。
・環境消毒清拭
 咳やくしゃみなどの症状がある人が、手で鼻や口をおさえると、手にウイルスがつきます。その手で 手すり、テーブル、ドアノブなどに触れることで、ウイルスが環境表面につきます。そして、他の人 がその場所を知らずに触り、自分の口、鼻、目を触れることで感染することがあります。

【環境消毒清拭をする場所、方法】
・ 家族がよく触れる場所(部屋のドアノブ・照明のスイッチ・リモコン・トイレのレバー等)の消毒
・ 1日1~2回、ドアノブ、テーブル、手すり、スイッチなど、手のよく触れるところを、薄めた漂  白剤(0・02%次亜塩素酸ナトリウム水溶液)または、アルコールを含んだティッシュで拭きま   しょう。
【感染を拡大させないための対策】
・外出時のマスクの着用
 感染予防におけるマスク着用の効果はあまり認められていません。しかし、マスクは咳やくしゃみな どによってウイルスが飛散するのを防ぐ効果が高いとされています。咳やくしゃみなどの症状がある 場合には積極的にマスクを着用し、感染拡大の防止に努めましょう。
・咳エチケット
 咳やくしゃみがある場合、咳やくしゃみを手でおさえると、その手で触った吊り革やドアノブなど周 囲のものにウイルスが付着し、それらを介して他の人に移す可能性があります。咳やくしゃみがある 人でマスクを着用していない際には、ティッシュやハンカチ、袖、肘の内側などを使って口や鼻をお さえるようしましょう。

院内の感染予防対策事例
 それでは院内で行っている主な感染対策を紹介いたします。

【手洗い・うがい】
 一般家庭の皆様と同様、出勤時、食事前、外出先から帰院した際や、患者様の診察・処置の前後など、常に手洗いうがいの実施、院内各所での周知を行っています。各洗面所・トイレにはプッシュ式の手洗い用石鹸を配置し、補充交換を行っています。

【総合受付・外来受付でのマスク着用】
 患者様や患者様のご家族の方々と接する各受付や業務上必要な職員はマスクを着用しています。総合受付で応対する事務職員については、口・鼻をガードするマスクに目をガードするシールドを装着し受付対応を行わせていただいています。新型コロナウイルス感染拡大に伴い、マスクやシールドの納入が限定されてくる中で、病院として優先順位を確立し、物品の確保・供給に努めています。またマスクやシールドが不足となった場合の対応策を、日々検討しています。

【院内の環境清拭】
 アルコールを含む環境清拭シートによる、患者様や患者様のご家族、職員が触れる頻度の高い受付カウンターや手すり、トイレ、椅子などの公衆用品、不特定多数の方が利用する再来受付機・自動支払機等の機械類、エレベーターや自動販売機等のボタン類等、随時清拭しています。また0・05%に希釈した次亜塩素酸ナトリウム(塩素系漂白剤)を使用して噴射後の清拭など、環境清拭シートが不足した場合でも対応できる方法を、職員間で情報共有しています。

【入院患者様への面会禁止】
 入院患者様は免疫力が下がっていることが多く、もし新型コロナウイルスに感染した場合重症化する恐れがあります。そのため4月2日より、当面の間面会禁止措置を取らせていただいております。ご迷惑おかけして申し訳ございませんが、詳細につきましては病院ホームページをご覧ください。
 おわりに、院内感染対策を今後も新型コロナウイルス感染状況に応じて実施していきます。感染対策の基本は手洗いとうがいです。ご家庭や職場では必ず行うようにしましょう。新型コロナウイルスだけではなく、インフルエンザ等の感染症対策も同様です。ご自身の体調管理をしっかり行い、感染予防や感染拡大の防止に努めましょう。

〈参考文献〉
感染予防ハンドブック
 東北医科薬科大学医学部感染症学教室特任教授 東北大学名誉教授 賀来満夫 先生



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