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JA静岡厚生連 機関誌「すてっぷ」特集記事です。 2017.6 NO.475

CTとMRIについて


遠州病院

放射線科 主任代理

鈴木 幸広



 画像によって病気を診断するための医療機械「画像診断装置」。その中でも、大きく、形も似ていて、同じような画像を撮る機械、CTとMRIについてお話ししていきます。

◆CTとMRIの違い

 CTとMRIは似たような形をしています。大きな箱の真ん中に穴が開いていて、その中に体が入っていく、といった感じです。
 形は似ていますが、画像の撮り方としては、全く違う技術を使っています。
 まず、CTは簡単に言いますとレントゲン検査の立体版です。X線を体の周りをぐるりと回りながら照射して、その後コンピュータ処理して二次元画像を得ています。後に二次元画像を重ねて三次元画像を得るということもできます。
 X線を利用しているため放射線被ばくがあります。一般的には、通常のレントゲン撮影の数十倍の被ばく量となりますが、そこから得られる画像情報量も多くなります。被ばくと聞くとあまり良いイメージは無いと思いますが、体には問題ないレベルの量なのでご安心下さい。最近のCT装置では技術が進んでより低被ばくでの撮影も可能となってきました。
 
 MRIは、CTと違ってX線などの放射線は使用しません。かわりに磁気を使って、体内の水素原子の量と存在の仕方を画像化しています。その際に、FMラジオで使われているような電波を利用しています。こちらは、放射線ではないので放射線による被ばくはありません。
 撮像方法が違うため、当然見えてくる物も違ってきます。遠くから見ているとどちらも同じような画像に見えるのですが、細かく見るとやはりそれぞれに特徴があります。

CT装置

MRI装置


◆画像の特徴

 CTの画像の特徴としては、骨や肺など水分の少ない部分に強いこと、隣の臓器とのX線吸収差が大きくなるとより高いコントラストが得られます。ただし、同じ臓器の中の小さなX線吸収差をとらえることは困難です。そこを補うために、しばしば造影剤というものを使用して画像のコントラストを高めようとします。一般的には一回の撮影であらゆる断面を作り出すことが可能です。

 一方のMRIの画像はCTとは反対に水分の多いところに強いです。一般には骨や肺などの水分の少ない部分には向かないことになります。しかし、同じ臓器内の小さな変化を見つけやすいという特徴があります。CTではとらえられないような微妙な病変を表現できる可能性があります。

CT画像

MRI画像


◆撮影時間の違い

 では、2つの機械はどのように使い分けるのでしょうか。
 まず、CTの検査時間はおよそ5〜10分程度。CTの場合はX線を使用している時間が撮影に関わる時間なのですが、実際にX線を出している時間は数秒です。息どめ撮影の場合は「息を吸って吐いて止めて下さい」から5〜6秒で「楽にして下さい」となって撮影終了となります。5〜10分の検査時間の大部分は準備にかかる時間ということになります。短時間に広い範囲を撮影することが可能です。

 MRIの検査時間はおよそ30〜60分となります。動きに弱いMRIは患者さんのポジショニングにも時間がかかります。できるだけ動かないように固定していきます。一回の撮影で一つの断面を撮影するのが一般的なのですが、それを何種類か撮影するのもMRIの撮影時間を延ばす要因となっています。一つの断面を得るのに3〜5分程度かかり、途中で動いたりしてしまいますと最初からやり直しとなってしまいます。

 検査時間を見ても分かるように、CTは短時間で広い範囲の撮影ができるため、救急時はよく利用されます。逆にMRIは時間も長く、広い範囲の撮影には不向きなので救急向きではありません。救急時にはCTで撮影しておいて、後にMRIで気になる部分を撮影するということはしばしばあります。


◆使い分け

 救急時以外ではそれぞれどんな風に使い分けるのでしょうか。
 主なところを挙げますと、CTは、骨・肺・尿路の結石・脳の出血・全身の※スクリーニング検査などに有用です。
              ※ 無症状の者を対象に疾患の疑いのある者を発見する目的で行う検査
 MRIは脳の梗塞・子宮卵巣・膀胱前立腺・筋肉や靱帯・椎間板ヘルニアなどに有用です。
 また、両方をうまく組み合わせて診断することもよくあります。
 一例では肝臓・膵臓・胆嚢・腎臓などの臓器は、造影剤を使いながらCT・MRIで併せて評価することもしばしばあります。その他の部位でも、医師が状況を判断しながら、どの画像診断が必要かを考え適切に利用していきます。

◆検査時の注意

 では、ここでCT・MRI検査を受ける上でのおねがいです。
 CTでは先にも述べましたが、撮影しているのはほんの数秒です。撮影している間は動かないでください。息どめの指示があったら、できるかぎりしっかり息どめして頂くとよりきれいな画像が得られます。また、撮影の合間が少しありますが、その時には撮影準備をしていますので、そのまま動かないでいて頂くとスムーズに進みます。
 MRIは検査時間も長いし、うるさい音はするし大変です。さらに、動かないように少々きつめの固定をさせて頂くことがあります。できるだけ動かないでいてください。
 それから、体が大きな磁石の中に入りますので金属物は身につけていないようにしてください。最近では肌着などにも金属繊維が使われていることがありますので注意が必要です。また、ペースメーカーなどの体内機器がある方はMRI問診時にお知らせ下さい。
 造影剤を使った検査をする場合は水分制限をしないでください。造影剤は尿として体の外に出ていきます。できるだけ早く出るように水分をたくさん摂るようにしてください。

◆最後に
 CT・MRIを使った健診も用意されています。
 CTでは肺ドック、MRIでは脳ドックなど、施設によって異なりますが、肺ドックに関してはほとんどの場合数秒から数十秒の息どめ撮影を二から三回行い終了です。簡単に胸部レントゲンの何十倍もの情報を得ることができる検査です。
 
 一方、脳ドックに関しては一般的には30分程の検査時間を要します。時間はかかりますが血管の情報や頭蓋内の変化を詳細に捉えることができます。
 また、CTを利用した大腸検査も可能となっています。前日から検査食を摂っていただき、当日は炭酸ガスを注入しながらCT撮影するというのが一般的です。大腸カメラよりも楽という方が多い検査です。便潜血の二次検査に選択可能な場合があります。(画像1)
 健康の気になる方はぜひ受けてみて下さい。
     
MRI画像




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