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JA静岡厚生連 機関誌「すてっぷ」特集記事です。 2015.3 NO.448
人間ドックについて


静岡厚生病院
健康管理課
井上 真

はじめに 
  我が国の死因上位は、3大生活習慣病と称される「悪性新生物(がん)」「心疾患(心臓病)」「脳血管障害(脳卒中)」で全体の約6割を占めています。これらの生活習慣病の特徴はかなり進行しないと自覚症状が現れないことです。しかし会社などで年1回義務付けられている定期健康診断や自治体が実施する特定健診では、身体全体のチェックをするには限界があります。
 人間ドックでは、さらに詳しい検査を多項目にわたって実施することから、病気の早期発見・早期治療に大きく貢献しています。

人間ドックと健康診断
 人間ドックと健康診断では検査項目に違いがあり人間ドックの方がより多項目の検査を受けることができます。
 人間ドックの検査項目(表1)で各種がんの有無、糖尿病や高血圧症などの生活習慣病などが発見されることがあります。さらにオプション検査を実施することで様々な疾病が発見されることもあります。
 現在の日本では、本人が加入する医療保険者(以下、保険者とする)によって受診できる健康診断等に違いがあります。
 例えばJA職員が加入している静岡県農業団体健康保険組合(以下、農団健保とする)被保険者及び被扶養者は節目の年齢でドック受診時に補助を受けることができます。それ以外の年齢では、保険者が定めている定期健康診断や各種がん検診を受けることができます。
 国民健康保険に加入している方は基本的には40歳以上から特定健康診査を受診することができます。
 定期健康診断は人間ドックに比べ検査項目が少なくなっています。さらに受診期間や受診可能検査項目について保険者と医療機関で契約を締結している場合は加入保険者によって違いがあります。

脳ドックとは
脳卒中や働き盛りを突然襲うくも膜下出血など、脳の病気の危険性を調べるものです。
 MRI(磁気共鳴画像診断装置)を使い、脳の輪切り状態の画像が撮れるMRI検査と脳血管を撮影するMRA検査を行います。
 また、首に超音波をあてて動脈硬化の有無や程度を調べる頸動脈超音波検査も実施している病院もありますのでご確認下さい。脳血管障害の予防や発見に非常に重要な検査となっています。
オプション検査
JA静岡厚生連四病院では人間ドックにオプション検査を追加して受診することができます。
 追加料金がかかりますが、胃部X線検査のかわりに胃カメラを選択することも可能となっています。また一日ドックと脳ドックを同じ日に受診することもできます。
※ 人間ドック時のオプション検査については病院ごと違うのでそれぞれの病院へお問い合わせ下さい。
@ 前立腺がん検査
 血液検査(PSA検査)によって症状が現れない早期のがんが発見されることがあります。
A 肺CT
 胸部のCT撮影を行います。肺がんや肺気腫等の肺疾患が発見されることがあります。
B 骨密度検査
 当院では超音波法によって踵の骨量を検査しています。骨粗鬆症が発見される
 ことがあります。
C 内臓脂肪測定
 腹部CTを撮影することで内臓脂肪・皮下脂肪量を測定します。
D 乳がん検診
 医師による視触診と乳房X線検査又は乳房超音波検査を行います。乳房超音波検査では、が んとの識別が難しい乳腺症やのう胞の診断に有効です。
E 子宮がん検診
 子宮内の細胞を採取して顕微鏡で調べます。さらに当院では経腟エコーも実施しています。
F 胃部内視鏡
 胃部X線検査の代わりに内視鏡(胃カメラ)による検査を行います。胃がんや胃潰瘍・十二 指腸潰瘍等の病気が発見されることがあります。当院では、経鼻と経口のどちらか一方を選 択し実施しています。最近は経鼻を希望する人が多くなっています。
G ペプシノーゲン検査
 血液中のペプシノーゲンを測定することで胃がんになりやすいかどうかがわかります。(胃 カメラを実施する方は検査する必要はありません)
新しい大腸精密検査(大腸CT検査)
日本では「大腸がん」の増加が近年続いており、食生活の欧米化が大きく関係しているようです。現在「大腸がん」は、がん※罹患(りかん)率では第2位、死亡率では第3位、女性にかぎれば死亡率で第1位となっています。
  ※罹患率… 特定の期間内に集団に新たに生じた疾病の発症頻度を割合として示すもの

 「大腸がん」も早期に発見すれば治癒する病気で、早期発見のためには、検診や人間ドックで便潜血検査の結果が陽性となったとき、〈大腸内視鏡検査〉や〈注腸X線検査〉を受けることが大切です。ただこれらの検査が少し大変なため、精密検査を敬遠する人が少なくなく、中には手遅れになってしまう場合があることが問題となっています。そこで精密検査として注目されるようになってきたのが、マルチスライスCT検査を活用した『大腸CT検査』です。JA静岡厚生連では静岡厚生病院の他に遠州病院でも実施できるようになりました。
 〈大腸内視鏡検査〉や〈注腸X線検査〉に比べずっと楽な質の高い検査で、大腸の中だけではなく、大腸周辺の情報も得られる利点もあります。『大腸CT検査』で異常が見つかった際には、 〈大腸内視鏡検査〉を受けていただくようになりますが、約7割の方はこの検査で充分と報告されています。(図1)
 〈大腸内視鏡検査〉や〈注腸X線検査〉に抵抗を感じて精密検査を敬遠されておられる方には、より楽な精密検査である『大腸CT検査』は、賢明な選択肢といえます。
 『大腸CT検査』とは、内視鏡やバリウムのかわりに、炭酸ガスを大腸に注入してCT装置で撮影を行います。その画像をもとに3次元画像を作成し、内視鏡検査で大腸の中を観察しているのと同じように調べることができます。

『大腸CT検査』の流れ
検査前日: 検査食のあとに軽い下剤を服用します。〈大腸内視鏡検査〉の時のように、たくさ      んの下剤を服用する必要はありません。
検査当日: 寝台に寝て鎮痙剤を注射したあと、大腸に炭酸ガスを注入して大腸を膨らめ、あ
     おむけと、うつぶせの2つの体位の撮影を行います。検査時間はおよそ10分です。

おわりに
病気の早期発見・早期治療はいうまでもなく、現在の自分の健康状態を知ることができる人間ドックは、より健康的に生きていくためにはどうしたら良いか考えるきっかけにもなると思います。
 なお、2〜3月のこの時期は比較的、人間ドックの申し込みが集中せず予約が取り易い時期でもあります。
 この機会に自分の健康状態を確認し生活習慣改善のきっかけとなるよう受診してみてはいかがですか?



JA-shizuokakouseiren.