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JA静岡厚生連 機関誌「すてっぷ」特集記事です。 2014.1 NO.434

我が国の医療保険制度
~制度を上手に活用しよう~
リハビリテーション中伊豆温泉病院
医療福祉科
原 貞一

はじめに

  体調が悪くなった時やケガをした時は、医療機関へかかることがあります。医療機関で診察を受け、検査をし、時には注射をしたり或いは薬が出ることもあります。そうした診療行為に対して患者さんには医療費が請求されます。その請求される医療費が思わぬ高額となる場合があります。そんな時皆さんはどうされていますか?我が国日本では、医療保険制度が整備されています。しかしながら、その制度が幅広くかつ複雑で非常にわかりにくく、普段の生活からは馴染みのないものなので、あまり知られていないのが実情です。病気やケガは思いもよらず起こるものです。いざというときの為に、制度を理解しておくことが必要です。参考にしてみて下さい。

医療保険制度について

   日本の医療保険制度は公的医療保険と民間医療保険に分かれます。公的医療保険については国民皆保険と言われ、何らかの保険に加入するよう義務付けられている強制加入が原則です。現在の制度では図1のように原則74歳までは職域等での保険、75歳になると後期高齢者保険制度へ加入が義務付けられています。民間医療保険は任意加入であり、いわゆる生命保険等民間会社が運営する保険です。ここでは公的医療保険制度についてお話します。

 図1

医療機関への受診
みなさんが体調を崩した或いはケガをして医療機関へ行くときには何を用意すれば良いでしょうか?お金を忘れずに持って行くことも大事ですが、まずはご自身が加入されている健康保険証が思い浮かぶと思います。保険証を持っていないと自費請求となり、支払い金額が高額になる場合がありますので、気を付ける必要があります。ただ、稀に意識もないほどに体調が悪くなり、救急車で運ばれてしまうケースもあります。こんな時は保険証を探す余裕はないと思いますので、すぐに出せるわかりやすい所に保管しておきましょう。

 全国には様々な診療科のある医療機関がありますが、その中でも健康保険証が利用できない医療機関があるのをご存知ですか?今度医療機関に行った際看板を見てみてください。そこに“保険医療機関”の表示があれば、そこは厚生労働大臣が定めている保険証が利用できる医療機関になります。逆に表示がないと保険証が利用できないということになります。ただし、保険医療機関であっても、場合によっては保険証が利用できないケースもありますので、注意が必要です。

実際の医療費の仕組み

保険診療の場合の医療費は全国共通の基準が設けられており、各診療行為につき点数が定められています。実際に受けた診療行為ごとに点数を計算し1点10円として計算したものが診療報酬と言われるものです。その診療報酬を患者さんの保険証の負担割合に当てはめた金額を医療機関の窓口で支払うことになります。診療報酬の計算方法には2種類があります。1つは出来高払いで、診察・検査・投薬などそれぞれ受けた診療点数を合計して計算する方法です。2つ目は包括払いで、病気の種類や状態によって1日単位で点数が決まっています。請求される医療費については、大きく保険診療費、食事

負担金、自費分に分かれます。これからお話しする高額療養費については、医療費の中の保険診療費に該当します。

高額医療費

診療の結果、特別な検査や処方薬或いは入院治療などが必要となった場合は保険証を使用しても高額になる場合があります。そんな時自己負担金を一定額に抑えることができる制度を高額療養費制度といいます。具体的な金額は別表の通りです。年齢や所得区分等で上限額が異なってきます。高額療養費についての基礎知識として次のことを覚えておきましょう。

・申請が必要

・1か月(1日から末日)に支払った保険診療費が対象。(これは、医療機関が保険者に発行する診療報酬明細書と関係してきます)入院が同じ日数でも月が替わると別計算になり、高額療養の該当にならない場合があります。

・外来と入院とは別計算

・保険診療費以外の医療費は対象外(差額ベッド代や食事療養費は対象外)

・診療を受けた翌月の初日から2年間さかのぼって申請ができる

 この高額療養費を受けるにあたっては、医療機関から請求をされた金額を支払い、後日手続きをとり、差額が返金される償還払いと、あらかじめ手続きをとり、限度額内で支払いがすむ現物給付の2つの方法があります。現物給付を受けることができれば、お金の負担がグッと減ることになります。この現物給付を受けるには、保険証以外に限度額適用認定証を医療機関の窓口に提出することが必要です。後から提出すると手続きが煩雑化しますので、なるべく早く提出をして下さい。保険証に記載されている保険者に手続きが必要となりますので、覚えておきましょう。70歳以上の高齢者受給者証を交付されている方や、後期高齢者医療被保険者証をお持ちの方は手続き不要です。ただし、低所得者については、減額認定証が必要となります。平成24年4月から70歳以上の方は外来診療でも適用になりました。場合によっては限度額適用認定証が発行されない方もいます。その場合は市町村の管轄で高額療養費貸付制度という制度もあります。覚えておきましょう。

世帯合算

 この高額療養費は個人のみでなく、同一世帯内で合算しても受けることができます。その場合の条件としては、

・同一月内

・同一の医療保険に加入している世帯

70歳未満の場合は2万1千円以上の負担のみ該当(70歳以上はすべての自己負担金)等

高額医療・高額介護合算療養費制度

  超高齢社会を迎えて、介護保険制度が整備されて以来、年々制度を活用される方が増えてきています。それに伴い、医療を受ける以外に日常生活を安心・安全に送るために各種サービスを利用していくとそれだけ負担が増えていくことになります。この制度は医療保険の負担金と介護保険の負担金を合算して負担軽減を図る制度です。

・この制度は1年間(毎年8月1日から翌年7月31日まで)が対象

・医療保険者と介護保険者双方の手続きが必要

・世帯単位

最後に

 今回は医療保険制度についての話でした。各種制度を受けるには支払いの際に発行される領収書が必要になる場合があるので、大切に保管しておいてください。支払いの際は医療費について何に対しての支払いなのか、十分理解していただくことも必要です。医療費のみならず疑問に思う事、心配な事、不安な事があれば、是非私たち医療ソーシャルワーカーに気軽にご相談ください。




JA-shizuokakouseiren.2012.7.9