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JA静岡厚生連 機関誌「すてっぷ」特集記事です。 2013.9 NO.430
災害時の食事について
リハビリテーション中伊豆温泉病院
管理栄養士 竹内 香容

はじめに
 東日本大震災が起きてから、テレビや雑誌等で『災害対策』の話題を目にすることが多くなりました。
 阪神淡路大震災や東日本大震災の時にニュースで流れる被害の大きさに驚き、防災対策をしたという方も多いかと思います。しかし、何事もなく月日が流れると気持ちも薄れ、非常食の賞味期限が切れていたり、その非常食の存在さえ忘れてしまっている方もいるかと思います。
 東日本大震災から2年経った今、改めて防災対策の大切さを感じて頂くために、今回は防災対策の中でも『非常食』について説明します。

災害食の準備@
 災害食の準備ですが、食品には賞味期限があるので半年や1年といった備蓄のサイクルを決めます。
 それに合わせた賞味期限の商品をそろえます。
 備蓄を始める日は『誕生日』や『記念日』など思い出しやすい日にすると良いです。

災害食の準備A
 始める日を決めたら、何を備蓄するか考えます。
 備蓄量の目安は『1人3日分9食』『飲料水は1人1日3リットル』です。
 この3日分というのは、被災後に支援物資が届くまでの期間を自力で凌げる量を目安としています。
 災害時は不安になったり疲れたりしやすく、そんな時に嫌いなものを食べても気分が滅入り元気も出ません。
 主食、おかず、飲み物など好きなものをバランスよく準備しましょう。

災害食の準備B
 災害が起きたとき探している余裕はありません。
 3日分の食品を水に濡れても大丈夫な袋に入れ、各自が1番よくいる場所に置くようにしましょう。
 また日頃から台所の備蓄として、予備の飲料水やレトルト食品、缶詰や保存のきく野菜など、1週間分の食材を備蓄しておくと“いざ”という時に役に立ちます。

被災時の食事《1日目》
 被災当日は混乱し自分の置かれている状況も把握しきれず、食事のことを考える余裕もありません。
 封を開けてすぐに食べられるものや、持ち運び出来るもので栄養補給しましょう。(乾パン、缶詰など)

被災時の食事《2日目》
 2日目になると周囲の状況など少しずつ情報が入るようになり、ひと息つける状態になります。
 火も電気も使えない被災時は温かい食べ物が元気を与えてくれます。
 災害時用の発熱剤のついたレトルト食品なども売っているので、備えておくと便利です。

災害時の食事《3日目》
 3日目になると電気が復旧し始めます。
 なるべく普段の食事に近づけることで、精神的な立ち直りも早くなります。
 乾燥野菜やレトルト食品を備え献立にバリエーションを持たせるようにしましょう。

災害時調理に役立つ3種の神器
★IHクッキングヒーター
 熱源と言えばカセットコンロですが、調理に使う熱量は案外多く、長期間にわたる被災時には相当な量のボンベが必要になります。
 阪神淡路大震災の時に最も早く復旧した熱源は“電気”でした。被災時は火災による2次火災も起きやすいので、火事を出さないためにも電気の熱源は重宝します。
★ポリ袋
 水が貴重になる災害時には、食器にポリ袋をかけて使うことで、食器を洗わず繰り返し使えます。
 また、手袋代わりにして食材を混ぜたり、ボール代わりに使ったりすることもできます。
 スーパーなどにある厚さのポリ袋で十分です。
★キッチンばさみ
 まな板が使えない時に食材を切ることが出来、衛生的に使うことが出来ます。
 また、皮を剥いたり、野菜を薄く削るのにピーラーも便利です。
 使った後は熱湯をかけて消毒しましょう。
災害時調理に役立つ知恵
 ・清潔な水がないときは『蒸し器』を活用
 ・おろし金やフッ素加工樹脂のフライパンが便利
 ・保存性の高い野菜(じゃが芋、人参、南瓜、玉ねぎなど)を備えておく
 ・圧力鍋や保温鍋で短時間加熱でも美味しく
 ・ポリ袋はサイズ違いで備えておく

災害食のレシピ@
 電気、ガス、水道が使えなくても出来る料理
・ポテトサラダ
 《用意するもの》
 ・じゃがりこ(1個)
 ・水     (80ミリリットル)
 ・マヨネーズ(40g)
 ・ホールコーン缶(1缶)
 《作り方》
@ じゃがりこをポリ袋に入れ、水を加えて軟らかくなったら押しつぶす
A @にマヨネーズ、コーンを加えて混ぜ出来上がり


・乾パンサンド
 《用意するもの》
 ・乾パン
 ・ゆであずき缶
《作り方》
@ 乾パンにゆであずきを挟んで出来上がり


災害食のレシピA
 カセットコンロと鍋を使って出来る料理
・ポリ袋でご飯
 《用意するもの》
 ・米(70g…ヤクルト容器1杯)
 ・水(160ミリリットル…ヤクルト容器2杯)
 ・塩(ひとつまみ)
 《作り方》
@ ポリ袋に分量の米、水、塩を入れ、空気を抜きながら入り口を輪ゴムでとめる
A たっぷりお湯の入った鍋で、30分茹でればできあがり



・肉じゃが風
 《用意するもの》
  ・じゃが芋(2個)
  ・玉ねぎ(1個)
  ・人参(1本)
  ・鮪味付け缶(1缶)
 《作り方》
@ ポリ袋に小さめに切った野菜と鮪缶を加え、空気を抜き、口を輪ゴムでとめる※この時、中の食材を均一に広げておくと火の通りが良い
A 鍋に水と@のポリ袋を入れ中火にかけ、沸騰後弱火にして30分茹でれば出来上がり※茹でる時鍋の蓋はしない


地域に合わせた防災
 静岡県が被災した場合、非常食に必要な事の中で難しいのは『水の確保』だと考えられます。
 ライフラインの復旧でも水道は3ヶ月かかるので、水の備蓄は重要になってきます。
 水の備蓄方法と目安(1人分)
 ・飲料用3リットル
 ・ 水道水10リットル(衛生・トイレ用)長期保存用ポリタンク使用
 ・ 雨水12リットル(トイレ用・いざという時は浄水して飲料用)市販の雨水タンク使用
 ※ 浄水器は通常飲めない水を飲めるようにする『サバイバルタイプ』を使用


おわりに
 『備えあれば憂いなし』ということで、日頃から防災を意識し“いざ”という時に少しでも快適な避難生活が送れるよう、防災グッズを準備しておきましょう。





JA-shizuokakouseiren.2012.7.9