JA静岡厚生連。保健・医療・福祉の事業を通じ地域の暮らしに根ざした病院として社会の構築に寄与する。

JA静岡厚生連 〒422-8006 静岡県静岡市駿河区曲金三丁目8番1号
TEL : 054-284-9854
お問合せ・ご相談
交通案内 リンク プライバシーポリシー サイトマップ


ホームへ 理念・沿革・概要 基本方針 患者様への姿勢 事業内容 施設整備事業

JA静岡厚生連 機関誌「すてっぷ」特集記事です。  2013.3 NO.424
介護が「必要にならない暮らし」と
「必要になってからの暮らし」

静岡厚生病院
居宅介護支援事業所長
磯 貝 美 佳

 1 高齢社会
 今の日本で高齢化が進んでいるという事は「もう聞き飽きた」と言いたくなるほど耳にします。
 若い人が少なくなって、高齢者がどんどん増えているわけですから、誰もが自分や家族の老後はどうなってしまうんだろうと不安を感じています。
 できれば元気に暮らしたいと願っていますが、困った時の暮らしも知っておかなければなりません。

 2 介護が必要になるとき
 介護が必要となる主な原因は、1位が脳血管疾患(約23%)、2位が認知症(約14%)です。
 また、実際に介護を担っている人は、1位が配偶者(約25%)、2位が子の配偶者(約14%)となっています。
 主な介護者の年齢は60%以上が60歳以上であり、いわゆる老老介護が相当数存在しています。

 3 介護を予防する
 介護が必要になる主な原因から考えると、脳血管疾患と認知症が予防できれば、介護が必要となる状態をある程度抑制できると言えるかもしれません。
 まずは、認知症を考えてみましょう。認知症は加齢による物忘れとは違い、正常だった脳の働きが低下する病気で、アルツハイマー型認知症(約63%)・脳血管性認知症(約19%)・その他に大きく分類されます。アルツハイマー型認知症の原因ははっきりわかっていませんが、良い生活習慣(図1)と早期発見(図2)が大切だと言われています。
 つぎに、脳血管性認知症は、介護が必要となる主な原因の1位でもある脳血管疾患と重なります。脳血管疾患は麻痺などの身体的な後遺症に加え、認知機能にも後遺症が残る場合が少なくありませんので、予防(図3)により発症を避けたいところです。
 認知症も脳血管疾患も予防・早期発見・早期診断と治療はとても大切です。

図1

図3


 4 介護とつきあう
 気をつけて生活していても加齢に伴い、身の回りの事が次第に大変になってきます。
 自分に介護が必要になったときの暮らしを考えてみましょう。
 生活に何らかの不自由さがあっても楽しみがあり、元気に自分らしく暮らせるということが目標になると思います。そのための注意点として、つぎの2点が挙げられます。
 @適切な診断と治療を継続すること。脳血管疾患では再発の予防と転倒の予防が重要となります。
 アルツハイマー型認知症では、薬によって進行を遅らせることと周辺症状(徘徊や昼夜逆転など)を軽減することで生活がしやすくなります。
 主治医の先生と相談しながら進めていきましょう。
 A自分の力を生かすことと、人の力を借りて生活を改善すること。つまり、リハビリテーションや運動など目標を持って自分で努力する。そして、できないことは誰かに手伝って貰います。
 つぎに、自分が介護を担うようになったときです。その時には一人で抱え込まないということが重要です。そのために、つぎの点に留意しましょう。
 @介護の分担をすること。家族の協力者や介護サービスを利用することと介護の工夫や休養時間の確保も必要です。
 A自分のストレスの解消。よき理解者・相談相手の存在が心強く感じます。信頼できるケアマネジャーと相談しながら上手に介護とつきあっていきましょう。
 ケアマネジャーは、ご本人やご家族の状況を知り、自立した生活が送れるよう課題と解決策を一緒に考えケアプランを作成します。また、必要な介護サービスが利用できるよう調整します。
 それでは、ここで介護サービスの中でも、最近特に重要視されているリハビリテーションを紹介します。図4は病気などにより、入院治療からリハビリテーションを経て自宅退院した方の時間経過に沿った生活機能の推移を表しています。
 生活機能の高低は、身体機能の状態と生活支援サービスの和で示されています。身体機能とは、座る、歩く、トイレに行く、お風呂に入るなどの基本的動作や、考える、話すなどの機能のことです。
 退院直後(混乱期)は、環境の変化により、入院中に一人で出来ていたことも自宅ではできなくなることがあります。また、活動量の少ない生活が続くと寝たきりを招くことがあります(低下期)。身体機能が低下しやすいこの時期に早い段階からリハビリテーションを開始することが大変重要となります。
 訪問リハビリテーションでは、実際に生活されている環境で、ご本人の身体能力やご家族の介護力などを評価し身体機能の維持・向上や負担の少ない介助方法の指導、福祉用具の必要性を含め住宅改修などの環境整備のアドバイスを行ないます。
 介護を受ける方、介護をする方を中心に関わる全ての人がより良い生活を求めてリハビリテーションを続けていく事がとても大切です。


図4

 混乱期と低下期に、特にリハビリが重要!


 5 まとめ
 今回は介護が必要となる原因の上位である脳血管疾患と認知症を主に取り上げてみましたが、他にも骨折や関節疾患、パーキンソン病などの神経疾患、癌など様々な原因で生活が大変になってくることがあります。
 まだ困っていない人も一度今の生活習慣を見直し、将来について考えてみましょう。そして、日々の生活において不自由さを感じておられる方は地域包括支援センターやケアマネジャーになるべく早く相談してみると良いと思います。
 すでに介護が始まっている方は、今の状況を悲観的に考えず、自分らしい生き方を目指して介護とつきあっていきましょう。

※介護相談受け付けます。
静岡厚生病院居宅介護支援事業所
TEL 054−271−9580



JA-shizuokakouseiren.2011.8.24