漢方薬の話題は最近よくテレビや雑誌で取り上げられるようになってきました。ただ、一般に何だか難しそうだとか、粉薬は苦くて飲めないだとか、あるいは高齢の方が飲む薬というイメージはまだまだありそうです。しかし、そんなことはありません。以下ご覧いただけば、漢方の素晴らしさをご理解いただけると思います。
漢方はひとりひとりの体質を見て、病気を治癒する力を高めるものです。ストレス社会から、ささいな不調をかかえやすい現代を生きる私たちにとりまして、
非常に効果があります。
漢方薬は数千年という長い年月による治療経験により、その効果や安全性が裏付けられた薬です。植物由来の生薬などを組み合わせており、比較的食事に近いものでもあります。最近では科学的な根拠に基づいた漢方薬の有効性も確認されています。
<芍薬の花> <当帰の花>
漢方では、四診と呼ばれる、独特のの診察がおこなわれます。とはいえ、痛みを伴う検査というわけではなく、従来の診察の基本である、「見る・聞く・嗅ぐ・触る」といった五感をフルに使った診察のことです。顔色や表情、姿勢、体型などの様子などを診ます。舌を診る「舌診(ぜっしん)」も望診に含まれます。顔の状態を知ることは漢方ではとても大切なので、お化粧は落としてからのほうがよく分かります。「聞診」とは声の大きさやトーン、話し方などを聞く診察です。またアンケートを用いたりしながら、自覚症状や発症の時期なども聞いていきます。その他、これまでにかかった病気、食べ物の好み、日常生活の様子などを聞くことも診断のうえで大切な要素になる場合があります。次に体に触れてその状態を診ます。大きく分けて、脈を診る「脈診」と腹部を診る「腹診」があります。直接腹部を触るため、受診の際は脱ぎやすい服装の方がよいと思われます。。こうした診察の結果、漢方的な診断がなされ、証に基づいて薬が選択されます。 なお、病状によっては、一部省略することもあります。
<脈診> <舌診>
漢方薬が効果のある症状や病気は多岐に渡ります。特に西洋医学では問題ないとされましたが、体の不調の訴えがあり、なかなかよくならない・・・。その様な症状でお困りの方は漢方による診療がよいと思われます。また、最近では女性の美容や肥満に対して、漢方診療を行っていくことが多くなってきた感じがあります。漢方診療が対象となる主な症状としまして、冷え症、排尿障害、便秘、肌荒れやニキビ、肥満、月経痛・月経不順・月経前緊張症、頭痛、肩こり、ほてり、のぼせ、動悸、不眠、むくみ、めまい、疲れやすい、風邪がよくならない、うつや不安などの精神症状、皮膚のかゆみ、鼻炎・花粉症などがあげられます。
例えば、冷えを例に挙げましょう。漢方では冷えを血流障害と考えます。その原因は血が不足している(貧血)、血の分布にばらつきがあり滞っている、ストレスによって「気」が末梢まで行き渡らないなどとされます。そのため、冷えのタイプや原因、体質によって必要な漢方薬が異なります。具体的には、血をスムーズに流れるようにしたり、生姜などの成分で体を温めたり、「気」が末梢まで行き渡るようにする薬を使います。漢方治療は冷えやすい体質自体を改善していくことが目的で、女性の多くが「冷え」があることから、患者様から相談を受けることとが度々あります。
産婦人科領域では、漢方では生理痛を中心とした症状を血がとどこおった状態(お血)と考え、血の巡りをよくする生薬で解消していきます。さらに生理中に使う生薬には、筋肉のけいれんを鎮め、痛みを抑えてくれる作用のある薬もあります。通常の痛み止めですと胃が荒れたり、度々内服することによって、お薬が効かなくなるのではと考えられる方も多いと思います。漢方ではこれらの心配がなく、安心して服用いただけます。さらに生理不順ではホルモン治療が必要となることもありますが、漢方薬には女性ホルモンと同じように作用する生薬があります。生理が順調になるばかりではなく、体調の改善が期待できます。
漢方薬の飲み方ですが、食前または食間に飲むことが基本です。食前とは食事の30分位前のこと。また食間とは、食事と食事の間という意味で、食後2時間が目安です。漢方薬の成分の多くは腸内細菌によって吸収されやすい形に変えられるため、空腹時のほうが成分がすみやかに腸に届き、効果を発揮しやすくなるのです。

副作用の心配ですが、構成する生薬は、すべて天然の植物や鉱物などを材料にしています。したがって、一般的には副作用の頻度は化学物質を使った西洋薬より小さいといえます。
しかし全く副作用が無いわけではありません。皆さんの中にも食事に対してアレルギーがある方もおられると思います。それと同じようにお薬の中にはアレルギーを起こしたり、肝臓や腎臓に負担がかかることもありえます。体に良いと思って食べていたものが、実は体に負担がかかることもあることと同じです。従いまして、下痢、腹痛、胃もたれなど不快な症状がある時は服用を止めて、医師に相談することが大切です。
その他、よくご相談いただくこととしまして、妊娠中の服用のことがあります。特に4ヶ月に入るぐらいまでは、控えていただいた方が無難です。しかし服用によって胎児に影響がでたり、流産したりすることは、基本的にないと思われます。。4ヶ月以降となれば、胎児に影響がまずなく、流産や早産の予防や妊娠時のマイナートラブル(痔、浮腫や便秘など)によいとされるます。授乳中も薬の成分が母乳を通じて赤ちゃんにいってしまうので、やはり注意が必要ですが、妊娠中と同様、赤ちゃんに影響は少ないと思われます。
これ以外にも漢方の素晴らしさを説明ることには、枚挙にいとまがありません。ぜひお気軽に担当医までご相談ください。
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