静岡厚生病院 産婦人科
JA静岡厚生連
   静岡厚生病院
         産婦人科


医師:田中 一範(診療部長)
    石橋 武蔵(診療部長)
    中山 毅
        (診療副部長)
    宮野 奈緒美
診療科目:産科、婦人科
      不妊症、東洋医学

静岡県静岡市
      葵区北番町23

TEL 054-271-7177(代)




  不妊症とは正常な夫婦生活があり避妊していないのにもかかわらず、2年以内に妊娠しない状態です。通常、90%以上が2年以内に妊娠するという事実に基づいています。過去に妊娠の経験がないものを原発性不妊、妊娠したことはあるがその後2年以上妊娠しない場合を続発性不妊と言います。 子供が欲しい夫婦にとって不妊は切実な問題です。
  不妊症の女性側の原因は約5割で、男性側が約3割、その他の原因不明が約2割ということです。男性の不妊症の原因のほとんどが精子の数が少ないか、または元気がない場合です。女性の不妊症の原因のほとんどの場合は、ホルモンの分泌が悪く、大きくて立派な卵子が成長しないことが多いようです。又、黄体の機能が悪いため子宮内膜の状態が悪く、受精卵が子宮内膜に着床しにくいことが原因となることもあります。

<女性の不妊症の原因>

排卵因子

ホルモンバランスの異常から、卵胞形成が不十分であったり、排卵が起こらないことが原因。多嚢胞性卵巣症候群(PCO)によることもある。若い女性に最近多い

卵管因子

卵管が閉塞していたり、卵管周囲の癒着により、卵子が取り込まれないことが原因

着床因子

黄苔機能不全により子宮内膜が薄かったり、ポリープや粘膜下筋腫により、着床が困難なことが原因

頚管因子

頚管粘液の量や質により、精子が子宮管内に入らない。抗精子抗体(免疫的に精子を殺す抗体)陽性のことも

年齢因子

卵子、子宮の老化。30歳を超えると年に数%ずつ機能が下がり、35歳以上になると急に下がる。特に卵子の老化が注目される。

原因不明



【女性側の検査】
 1. 基礎体温の測定
 基礎体温により、排卵があるか、黄体機能不全の可能性を調べます。。基礎体温で排卵日の予測はできませんが、低温相最終日から基礎体温上昇期の3日間に排卵することが多いと言われています。また、高温相が10日以下だと黄体機能不全と考えられます。

2. ホルモンの基礎値の測定
月経開始から5日目前後にに、採血にて下垂体ホルモン(LH、FSH、プロラクチン)、卵巣ホルモン(エストロゲン)、甲状腺ホルモン(TSH、f-T3、f-T4)などを測定します。
3. 卵管の疎通性検査
月経終了後10日目位までにに、卵管の疎通性検査を行います。超音波を使ったり、X線の透視を用いて、卵管の通り具合を検査します。
4. 超音波検査とフーナーテスト
排卵が近づくと、超音波検査をして卵胞が成熟しているかを診ます。排卵が近づく頃には、卵胞の直径は約20mm位になります。子宮内膜は着床に備えて、10mm以上に肥厚します 。
 また、同時に頚管粘液や尿中のLH(ホルモン)を調べます。卵胞が発育し、排卵直前になると、頚管粘液が増え、精子を子宮内に受け入れる準備をします。そのため、頚管粘液の検査を行うこともあります。また、下垂体から出るLHがピークになると、12〜24時間以内に排卵すると言われているので、LHが増えているかどうかを尿で調べます。これが排卵検査薬です。
 排卵日のあたりで、フーナーテストを行います。フーナーテストを2回行い、2回とも運動精子が見つからない場合、抗精子抗体を調べる必要があります。

5. 黄体ホルモン検査
排卵後1週間位経ち、基礎体温が高温相になったころに、着床および妊娠維持に必要とされる黄体ホルモン(プロゲステロン)をを採血して調べます。正常範囲は、正常値は10ng/ml以上です。

【男性の検査】
男性の検査は、主に精液検査です。容器をお渡ししますので、ご自宅で採取いただき、射精後2時間以内に、顕微鏡にて数や運動している割合を調べます。3時間以上経過すると精子運動率は低下していきますので注意が必要です。受診の上ご予約ください。
 4〜5日の禁欲後に検査を行います。精子の数は、男性の体調によって変化します。異常があれば、再度検査が必要となります。
                                                                

 当院における不妊症の治療は「ステップアップ方式」によって行います。「ステップアップ方式」とは、出来るだけ自然に近く、体への侵襲が少ない方法から治療を開始することです。一定の期間で成果が見られない場合には、妊娠の確率を高めるために治療内容を徐々にレベルアップしていきます。なお子宮筋腫や子宮内膜症などの婦人科疾患の合併、年齢の問題、その他の理由で、早く妊娠を希望される方においては相談の上で方針を決定することもあります。

  精子を、細いチューブを使って子宮腔内に入れることを人工授精といいます。
  精液中には雑菌や白血球が存在します。射出された精液をそのまま子宮腔に入れたのでは、卵管に感染をおこして卵管閉塞の原因になることもありますので、洗浄した精液を用いた人工授精を行っています。
 精子濃度の少ない方、精子の運動性の悪い方、精液量の少ない方、勃起不全がありうまく夫婦生活が行えない方が人工授精の対象になります。


 体外受精は主に
一般不妊治療では、妊娠することが困難と考えられる場合(子宮内膜症、強度の癒着など)
1年以上一般不妊治療を続けているが、妊娠しなかった場合
体外受精法を用いた方が効果的であると思われる場合
が適応と考えられます。具体的には以下のような流れで治療していきます。
 月経開始後3-5日目頃から、hMGの注射を毎日開始します。卵巣を刺激し、多くの卵胞の発育を起こします。hMGの注射を7〜10日間行って、卵胞の大きさが18mm以上になったら、hCGを10,000単位、筋肉注射します。
 hCG投与後、約34〜36時間後に採卵を行います。
 採卵は静脈麻酔下に、経膣超音波のガイドしながら膣から針を刺して、卵胞から卵子を採取します。
 採卵した卵子は、培養液の中でよく洗って、37度のインキュベーターの中で前培養しておきます。
 一方、採精室で採取した精子は十分に液化した後、swim-upと呼ばれる方法で運動性の良好な質のいい精子を集めます。
 次に集めた精子と卵子を受精をさせます。翌日、受精しているかどうかを判定し、さらにインキュベーターの中で培養を続けます。これら一連の流れを体外受精(IVF)と呼びます。その胚の中で良好な胚を子宮腔内に戻します。この胚を子宮に戻すことを胚移植(ET)と呼びます。
 体外受精後は黄体機能を維持するために黄体ホルモンであるプロゲステロンを膣坐薬または筋肉注射を投与します。
 胚移植(ET)2週間後に妊娠判定を行います。
 なお、体外受精は当院では行なっておりません。当院で診療後、専門施設へ紹介させていただいております。

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