静岡厚生病院 産婦人科
JA静岡厚生連
   静岡厚生病院
         産婦人科


医師:田中 一範(診療部長)
    石橋 武蔵(診療部長)
    中山 毅
        (診療副部長)
    宮野 奈緒美
診療科目:産科、婦人科
      不妊症、東洋医学

静岡県静岡市
      葵区北番町23

TEL 054-271-7177(代)



 子宮筋腫は、30〜40歳代の女性の20%が罹患しているといわれ、極めてポピュラーな疾患の一つです。子宮筋腫による症状としては、子供ができにくい、流早産しやすい、過多月経、月経痛、腰痛、下腹部痛、腹部腫瘤感、不正出血や、全身倦怠感、息切れなどの貧血症状などさまざまな症状があります。筋腫のできる場所によっては、大きなものでも無症状のものもあります。子宮筋腫は長年、「摘出」を原則とされてきましたが、「保存」が可能と考え方も変わってきています。
 子宮筋腫は平滑筋と呼ばれる子宮の筋肉組織から発生する良性腫瘍です。
 治療方法としては、経過観察、薬物治療、手術治療があります。
 薬物療法としましては、GnRHアナログと呼ばれるお薬を毎月注射したり、毎日点鼻したりします。子宮筋腫は、更年期になると、一般に小さくなってきます。これは、女性ホルモンである、エストロゲンが子宮筋腫の発育に大きく関わっていることによります。従いまして、GnRHアナログを用いて、一時的ないしは、予定より早く閉経状態をつくりだし、子宮筋腫の治療を行います。また貧血に対して鉄剤を内服したり、過多月経の治療として、ピルや漢方薬などを内服することもあります。
 手術療法としまして、子宮全摘、子宮筋腫核出術があります。今後妊孕性の温存を希望される方は、子宮筋腫のみを摘出する子宮筋腫核出術を行います。以前は、開腹手術がメインでありましたが、最近では腹腔鏡や子宮鏡を用いた手術方式が主流となってきています。手術の侵襲が少ないため、早期に社会復帰が可能であり、患者様から好評をいただいております


        <新生児頭大の子宮筋腫にて開腹手術を施行しました>
 卵巣は、親指の先ぐらいの大きさの臓器で、右と左の両方に1個ずつあります。卵子を作ったり、女性ホルモンを分泌し、女性の健康維持を行う重要な臓器です。卵巣嚢腫は、卵巣の中に分泌液がたまって腫れてしまうものです。内容液の種類によって皮様嚢腫、粘液性嚢腫、漿液性嚢腫、チョコレート嚢腫の4種類に分けられます。
 症状としては小さいうちは無症状ですが、5〜6cmより大きくなると、固いしこりが下腹部に触れたり、腰痛、下腹部痛、また場合によっては、腹水といって、おなかに水がたまったりします。実際は無症状のことが多く、、妊娠検査や、ガン検診で偶然発見されることが多いです。
 卵巣嚢腫かどうかを調べるには、一般的には内診、エコーなどで卵巣腫瘍の大きさ、性状をみることが必要です。腫瘍が良性か悪性かを診断するために、血液検査によって腫瘍マーカーを調べたり、MRIなどをおこなうこともあります。
 嚢腫が小さく、6cm以下では経過観察を行うこともあります。症状があるものや6cmを超えるものについては、手術摘出が基本となります。なお茎捻転といって急激な下腹部痛を伴う時は、緊急手術となります。
 手術には、開腹手術と腹腔鏡による手術とがあります。当院では、良性腫瘍では9割以上、腹腔鏡にて手術を行っています(前勤務先での実績より)。腹腔鏡手術では5mmから10mm程度のとても小さな傷だけで腫瘍を摘出することが可能です。癒着がきつい症例、悪性の可能性が高い症例では、基本的に開腹手術を選択することが多いようです。
 手術法には主に2つあります。病巣だけを摘出する「卵巣腫瘍摘出術」、病巣のある卵巣をまとめて摘出する「附属器切除術」です。卵巣腫瘍摘出術の方が、術後の妊孕性やホルモン異常を起こしにくいみたいです。ただし、再発の可能性があります。
 ちなみに卵巣は2つあるので、1つ摘出しても、残った卵巣が代償的に働くので、問題はありません。(ただし、若いうちに卵巣を片方なくすと閉経が早まることはあります。)
 
<左卵巣腫瘍の一例 腹腔鏡手術では、まず内容液を抜いて小さくしてから摘出します>
 子宮内膜症は、子宮の内側をおおっている粘膜組織が、腹膜、卵巣、直腸などの子宮以外の場所にあらわれ、腫瘍が出来たり、生理の度に症状を起こす病気です。
 患者数は増加傾向にあり、1年で約12万以上の人が診療を受けていると推測されています。 悪性ではありませんが、年齢とともに進行し、月経痛や腰痛、倦怠感、進行すると卵管の周囲の癒着をきたし、不妊症の原因になるなど、女性の生活の質を落とすことになります。 
 最も多い症状が月経時の下腹部痛です。子宮内膜症の人の約90%は月経時に強い痛みを訴え、月経時以外でも約70%の人が下腹部に痛みを感じています。
 子宮内膜症は診断が難しい疾患であります。「確定診断」には直接、腹腔内を見る腹腔鏡検査などの検査を受けることが必要です。しかし実際には「臨床診断」といって内診や超音波検査、血液検査(CA125)、MRI検査などのいくつかの検査結果により、診断をつけて治療を開始します。
 治療法は、薬物治療と手術治療に分けられます。薬物療法として、 GnRHアゴニストを用いて、女性ホルモンの分泌を止めて偽閉経状態をつくります。毎日鼻粘膜にスプレーするくすりを使う方法と、4週間に1回皮下に注射をする方法があります。6ヶ月の治療により症状を改善させます。平成20年に入り、子宮内膜症にピル(ルナベル)と黄体ホルモン剤(ディナゲスト)が保険で使えるようになりました。いずれも効果の高い飲み薬です。当院でも採用をしておりますので、ご相談下さい。
 手術療法としては腹腔鏡にて、癒着を剥離したり、卵巣嚢腫の摘出を行います。
 子宮内膜症は、閉経までゆっくり進行することが多いみたいです。継続した治療が必要です  
<ダグラス窩(子宮と直腸の間が癒着で閉じています>
骨盤臓器脱の種類
 ・子宮がさがる、出てくる:子宮下垂、子宮脱
 ・膀胱(腟の前の壁)がさがる、出てくる:膀胱瘤(膀胱脱)
 ・直腸がさがる、出てくる:直腸瘤(直腸脱)
 ・子宮をとった後の腟の壁が出てくる(腟断端脱)
 まず命にはかかわらない病気ですが、患っている方はずいぶんつらい思いをされている
 ようです。治療としては以下のものがあります。
治療法法
 ・減量、骨盤底筋体操
 ・漢方療法(補中益気湯)
 ・ペッサリー療法
手術療法
 程度が強い場合は手術が適当です。手術においては以下のいずれかを行います。
 ・膣壁形成術および膣式子宮全摘術
 ・腟閉鎖術=腟の前の壁と後の壁を縫い合わせます
 ・TVM手術:腟の前の壁と膀胱の間、後ろの壁と直腸の間にネット状のメッシュを埋め
  込みます
 ・マンチェスター手術
なかでも最近脚光を浴びているのがTVM手術です。当院でも平成19年より行っております。
悩んでいる方がおられましたら、ぜひ産婦人科外来を受診してください
  医学の進歩により、強力な抗生物質が創り出され、淋菌、梅毒など症状が出やすかった性病は次第に影をひそめるようになりました。それらに代わって、症状のあまり出ないクラミジア感染症や性器ヘルペス、尖形コンジロームなど、ウイルスによる新しい性感染症がひろがってきています。そしてこれらは、性生活をもつ一般の人々の中に、ひそかに大きく広がってきています。今、日本で性感染症が増えていると言われていますが、、クラミジアや淋菌をはじめとする性感染症が特に流行しています。性感染症の治療は抗生剤の内服、点滴となります。通常、治療後、再検査にて治療の効果判定を行います。
 治療せずに放っておくと、男性、女性とも不妊症の原因になる場合があるので注意が必要です。またクラミジアを含め、多くの性感染症は母親から子供に感染( 母子感染)する可能性があります。感染しても無症状のことが多く、本人も自覚症状がないことが多いので注意が必要です。
 頻尿、残尿感などの膀胱炎症状、下腹部痛、帯下の違和感などの症状がある方は検査をお勧めします。また症状がなくてもご心配な方や、妊娠を考えられている方も簡単な検査ですので受診をお勧めします。
 
  生理痛は、月経困難症と月経前緊張症に分けられます。
 月経困難症とは、よく言われている、月経時の痛みです。子宮に病気がある場合と機能性のものにわかれます。特に子宮筋腫や子宮内膜症などが、原因となることもあるので、市販薬に漫然と頼らず、一度婦人科の受診をお勧めします。
 月経前緊張症候群(PMS)とは、最近になって注目されるようになってきた、月経前のイライラ、むくみ、眠気などの倦怠感、下腹部痛などを総称した疾患です。20代後半から30代の若い時期に見られることが多いとされます。また、月経前に抑うつ、不安、いらいらなどの精神症状が強く出る方は月経前不快気分障害(PMDD)の疑いがあります。うつのお薬を症状の出る時だけ飲むとずいぶん楽になるといわれています。
 治療の他に、予防が大事とされます。冷えや食事に注意したり、気分転換などをはかることが大事です。その他、漢方薬、ピルの内服を行うことによって症状が軽快される患者さんも多いです。アロマテラピーなどの代替医療も注目を浴びてきております。当院では、薬物療法はもちろん、それ以外の指導もさせていただきます。ぜひご相談ください。

 月経の異常(月経不順、月経痛、無月経など)、帯下の異常(かゆみ、性行為感染症など)、
体の悩み(ニキビ、体毛が濃いなど)、性の悩み(避妊、性交時痛など)でお困りの方はご相談ください。診察には必ずしも内診を行うわけではありませんので、担当医とご相談ください。

 婦人科のガン検診の目的は、発見しやすい癌の一つである子宮頚ガンをスクリーニングすることにあります。30歳ぐらいから、年に1回は子宮ガン検診を受けることをお勧めいたします。最近では、20歳からのガン検診をすすめることが多くなってきました。これは、子宮頚ガンが、パピローマウイルスによる感染との可能性が示唆されており、性生活の変化から、20歳から子宮頚ガンの発生を認めることによります。
 検査は、内診、細胞診、経腟超音波によって行われます。
 なお、閉経前に月経不順のある方、閉経後に不正出血のある方、乳ガンの既往のある方は、子宮体ガン検診をお勧めします。
 子宮ガンの細胞診においては、結果を5段階に表示して判定します。クラスTとクラスUは正常所見、クラスWとクラスXが悪性所見、そしてクラスVは疑陽性となります。またクラスVはVaとVbに分けられます。細胞の顔つきによって良悪を振り分け、クラスVa以降についてはさらに二次検査として「組織診」を行い診断を確定するのが検診の一般的な流れです。



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