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クラミジア感染に要注意!不妊症の原因になるかも!?

クラミジアは最も頻度の多い性感染症と言われています。

クラミジアは症状が出ることが少ないため、自分が感染していることに気づかずに次々とパートナーに感染していくからです。

クラミジア感染を放置すると、子宮から卵管や卵巣などへ感染が広がり、不妊症の原因になります。

今回はクラミジア感染について、感染経路、予防法、治療法、感染するとどうなるのかなどについて解説していきます。

1. クラミジアの感染経路

2. 無症状でも要注意!クラミジアで起こる軽微な症状を逃さずチェック!

3. クラミジア感染を疑ったら?検査法について

4. クラミジア感染が判明したら治療!完治したかの確認も忘れずに!

5. 妊娠中のクラミジア感染は大丈夫??

6. クラミジア感染が広がると不妊症になります!

1. クラミジアの感染経路

クラミジア・トラコマティスという病原菌の感染によって発生します。
クラミジアは精液、腟分泌液に含まれており、性交渉によって感染します。
女性では、子宮頸部(子宮の出口)に感染し、放置すると感染が上へ上へと広がり、最後には肝臓まで達します。

クラミジア感染部位 起こること
子宮頸管 子宮頸管炎
子宮内膜 子宮内膜炎
卵管 卵管炎→卵管閉塞
卵巣周囲 卵巣、卵管周囲の炎症→癒着
骨盤内 骨盤内の炎症→骨盤内臓器の癒着
肝臓 肝臓周囲の癒着



↑肝臓にまでクラミジア感染による炎症が広がり、肝臓周囲に癒着を生じた状態(Fitz-Hugh-Curtis症候群)
喉、直腸、尿などからも出るため、性行為の他にもオーラルセックスによって喉にも感染します。
喉から性器へも感染し、しかも一回の行為で感染することもあります。
クラミジアは無症状のことが多く、しかも感染力が高く、若年者に爆発的に感染が増えています。

2. 無症状でも要注意!クラミジアで起こる軽微な症状を逃さずチェック!

クラミジアに感染しても、ほとんどが気がつけないほど症状がありません。
しかしながら、わずかながらに症状が出る場合もあります。
感染の広がりによって症状が変化しますので、ここでは感染部位別の症状を紹介します。
クラミジア感染部位 自覚症状
子宮頸管 1-3週間の潜伏期間を経て、尿の時に少し痛みが出たり、腟からのおりものが増えます。
子宮内膜 ここでもおりものの増加くらいしか症状がなく、ほとんどの人が気づきません。
尿道 頻尿や尿を出すときに、少しだけ違和感を自覚します。
骨盤内 骨盤内まで感染が広がると、発熱、下腹部痛、子宮や卵巣の痛みが起こります。
肝臓 肝臓周囲(右上腹部)に痛みを自覚します。
感染しても症状がほとんど出ないため気づけません。

喉に感染した場合、症状がないため自分で見つけることが難しいとされています。
しかし、性器にクラミジア感染がある人の25%が喉の感染も合併していると言われていますので、性器クラミジア感染と診断された場合には喉の検査もしておく必要があります。
日本では風俗でのオーラルセックスが多いことにより、海外よりも喉のクラミジア感染が多いことがわかっています。
そのため、以下のような人は喉のクラミジア感染を疑って検査をするのがおすすめです。
仕事でオーラルセックスをしている人
性器からクラミジア・淋菌検出された人
ディープキスを含め、口での感染機会があった人
尿道炎・膣炎の感染中、パートナーと性行為はしなかったがキス等の接触があった人
他の性病が見つかった人
咽頭炎と診断された後、内服の抗生剤等でもなかなか症状が改善しない人

3. クラミジア感染を疑ったら?検査と治療法について


性器クラミジア感染の検査

@クラミジア抗原検査

現在クラミジアに感染しているかどうかがわかります。

迅速検査(約1時間で結果が判明します)
【男性】 尿検査
【女性】 子宮口ぬぐい液を検査(自己採取可)

PCR法(1-2日で結果が判明します)
【男性】 尿検査
【女性】 膣分泌物を検査(自己採取可)

男性、女性ともに迅速検査よりもPCR法での検査の方が結果判定の確実性が高いとされています。

そのため、迅速検査とPCR法を組み合わせて検査するか、PCR法だけの病院もあります。

A血中クラミジア抗体(IgA、IgG)の検出



血中のクラミジア抗体を検査し、過去にクラミジアに感染したことがあるかを調べることができます。
男女ともに採血を検査します。

  クラミジアIgA陰性 クラミジアIgA陽性
クラミジアIgG陰性 未感染 感染したばかりの疑い
クラミジアIgG陽性 昔、感染していた。 感染中疑い

クラミジアIgG、IgAを調べる方法は、クラミジア感染の治療後も陽性が一定期間続くため、今現在感染しているかどうかや、治療効果判定には向いていません。
しかし、クラミジア感染は不妊症の原因ともなるため、過去に感染していたかどうかを知ることが必要となります。
さらには、クラミジアIgG、IgAは高値になるほど骨盤内癒着の頻度が高いとされており1)、不妊症の初期検査として非常に有用とされています。
普段の診療でのクラミジア感染の診断は@クラミジア抗原の検査で良いですが、不妊症の疑いがある人は、Aクラミジア抗体の検査も組み合わせて行うと良いでしょう。


喉のクラミジア感染の検査

喉のクラミジア感染も検査方法があります。

B喉の奥を綿棒でぬぐって、ぬぐい液を検査する方法


Cうがい液を検査する方法

どちらの方法も検出率はさほど変わらないため、痛みのないCうがい液を検査する方法が一般的となっています。
性器クラミジア感染がある人の約25%に喉のクラミジア感染も合併しているので、@-Cの検査方法を組み合わせて、検査してもらいましょう。

4. クラミジア感染が判明したら治療!完治したかの確認も忘れずに!

クラミジアと診断されたら抗生物質を内服して治療していきましょう!
当院では治療薬として、日本産科婦人科学会ガイドラインに記載があるものを使用しております。

内服薬
@ジスロマック錠250mg4錠内服1日1回のみ
AジスロマックSR成人用ドライシロップ2g内服1日1回のみ
Bクラリス錠200mg2錠分2(クラリス錠200mgを1錠ずつ朝夕の2回内服)を7日間継続
Cクラビット錠500mgを1日1回、7日間継続
Dグレースビット錠50mg4錠分2(グレースビット錠を2錠ずつ朝夕の2回内服)、7日間継続
 
注 射
Eミノマイシン点滴静注用100mg、1回100mgを1日2回投与、5日間継続
Fジスロマック点滴静注用500mgを1回500mg点滴投与、2日間継続。その後、ジスロマック錠250mgを1日1回を5-6日間継続
 
※治療法の注意点
@、Aのジスロマックは一度内服した薬の効果が約10日間続きます。B-Dと比べると飲み忘れが無く、治癒率が高いのでおすすめですが、下痢になることがあるという欠点もあります。
どの治療法も治癒率は90%前後となり100%ではないため、効果判定の検査が必要です。治療した後に3週間以上の期間をあけて、クラミジア抗原検査をもう一度行いましょう。
また、治療途中で飲酒をすると治癒率は下がると言われていますので、抗生剤内服中は(ジスロマックなら内服して10日間は)飲酒を控えましょう。
治療中にクラミジア感染がある人と性交渉すると再感染する可能性があります。そのため、クラミジア感染がわかったら、パートナーも一緒に検査、治療をするようにしてください。

5. 妊娠中のクラミジア感染は大丈夫??


クラミジア感染している妊婦が出産した場合、分娩中に赤ちゃんの目や肺、のどにクラミジアが感染します。
そして赤ちゃんに、新生児クラミジア結膜炎、咽頭炎、肺炎を引き起こします。
また、妊娠中に感染するとクラミジアによって炎症が起こり、流産や早産の原因となる場合があります。
日本では妊婦検診の初期検査(妊娠したら10週前後で最初に病院で行う検査)や中期検査(24-26週頃に行う検査)にクラミジア感染の検査が含まれていますので、そこで検査して治療できれば良いです。
妊婦に対してはクラミジア抗原、つまり腟分泌物を検査します。
治療薬は妊娠中でも使用できる、ジスロマック、クラリスロマイシンが使用されます。

6. クラミジア感染が広がると不妊症になります!

クラミジア感染の最も恐ろしい点、それは感染が気づかぬうちに広がって、卵管が閉じてしまったり、お腹の中が癒着してしまい、不妊症となることです。
もし、卵管が閉じてしまえば、自然に妊娠することが難しくなります。
お腹の中の癒着があれば、卵巣から排卵された卵子を、卵管がキャッチすることもできなくなります。
クラミジア感染を治療したとしても、これら卵管閉塞やお腹の中の癒着は抗生剤だけでは治療できません。
つまり、一度でもクラミジアに感染したことがあれば、将来不妊症になる可能性があるということです。
大切なのは予防。そしてパートナーへの情報伝達です。
もし感染してしまったら、きちんとパートナーと一緒に治療しましょう。
そして性行為の最初からコンドームを使用することを心がけ(オーラルセックスでも)、もし感染に心当たりがあれば、早めに病院で検査するようにしましょう!